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レポート Report |
第4回ロングトレイルシンポジウム 2017年2月25日に開催しました「第4回ロングトレイルシンポジウム」は、お陰様で約140名の参加者があり、盛況のうちに終了しました。 また、翌26日のワークショップ「ロングトレイルのつくり方」には30余名の方が参加されました(募集定員に比して応募者が多く、キャンセル待ちいただいた皆様にはご迷惑をおかけしました)。
■ 要 旨
記念講演「安藤財団がロングトレイルを支援する理由」安藤 宏基(安藤財団理事長、日清食品ホールディングス株式会社代表取締役社長・CEO)安藤財団の支援事業の1つに自然体験活動があり、その中で安藤百福センターの運営や浅間・八ヶ岳パノラマトレイルの整備などを行っている。ロングトレイルは現状約2,000kmだが、将来5,000kmぐらいになれば、どこでも好きなところへ安全に行けるようになる。財団としては、安全性を確保するための支援を行っていきたいと考えている。具体的には、ホームページの支援やロングトレイル協会ロゴのデザインのほか、スマホアプリ「コンパス」を使ったトレイル巡り、スマート山岳道標の設置などを進めている。今後も「歩く文化」の醸成をお手伝いしていきたい。 鼎談「信仰の道と現代のロングトレイルを語る」
藤波 源信(比叡山延暦寺 大行満 比叡山千日回峰行者 大阿闍梨)
小山 邦武(信越トレイルクラブ代表理事) 節田 重節(日本ロングトレイル協会会長) コーディネーター 神長 幹雄(山と溪谷社編集者) 藤波: 修行というと、過酷とか辛いというイメージがあるかもしれないが、本人は過酷と思わず、日々の歩きを楽しみながら行っていたので続けることができた。千日回峰行では定められた地点をクリアしていくが、季節による変化を感じながら、植物などを見ながら歩くことで精神的な癒しになる。昔の信仰の道は、巡礼や修行だけでなく、農閑期に楽しむ小旅行としても使われていた。車ではなく、2本の足で歩くことで健康にもなるし、心のあり方も変わってくる。人間には未知なる力があり、修行を通じて本能を蘇らせ、リセットすることができる。 小山: 信越トレイルは、加藤則芳氏の思想をもとに、自然と人間が持続的に関わっていけるものにしようと、最初の2年間、自然環境調査を地道に行ったのがベースになっている。整備にあたっては2,000人近いボランティアが関わった。行政任せにするのではなく、地域の皆さんと手を取り合って一緒に汗を流していくことが、持続可能なトレイルには必要なことだ。また、トレイルのルールを歩く人にわかってもらうことと、ガイドの質を高めていくことも重要である。 節田: ロングトレイルとの出会いは、東海自然歩道の取材まで遡る。その後、アウトドアによる地域起こしをサポートするようになり、徐々にロングトレイルに収れんしていった。ロングトレイルは、信仰の道にしろ歴史の道にしろ、ストーリー性のある道を活かしながらつくるのが良い。例えば今、中山道を歩く人の4分の1は外国人と言われているが、それは歩くことで、その土地の歴史や文化を知ることが魅力になっている。旧来の名所旧跡を訪ねる旅から体験・滞在型の旅にシフトしてきており、ロングトレイルを通じて旅の楽しみを広げていければと思う。 講演(1)「環境省が取り組む長距離自然歩道(ロングトレイル)」奥田 直久(環境省自然環境局自然環境計画課長)環境省が進める長距離自然歩道は、豊かな自然や歴史・文化とのふれあい等を目的に、1970年の東海自然歩道の整備に始まり、現在では全国に10の自然歩道がある(総延長27,162km)。ただし、整備は原則都道府県が行い、市町村に管理委託しているため、地域によって差があり、標識の不統一、施設の老朽化・倒壊などが見られる。そのため、協働型管理体制の構築や情報提供・発信、魅力の向上などに取り組んでおり、東日本大震災以降は「みちのく潮風トレイル」の整備を進めている。 講演(2)「ダイヤモンドトレールを軸にした地域の連携と魅力発信」赤井 俊夫(大阪府南河内農と緑の総合事務所地域政策室長)ダイヤモンドトレールは、金剛山系の稜線を縦断する長距離自然歩道で、全長約45km。1971年に整備され、年間80〜90万人が利用している。3県10市町村が関わっているので、2011年より活性化実行委員会を立ち上げて広域連携を進めている。具体的には、公衆トイレの整備やマップのリニューアル、ボランティアによる歩道の整備などを行っている。トレイルを軸にさまざまな地域資源の掘り起こしと積極的な情報発信を推進しており、今後さらなる地域の活性化を図っていきたい。 講演(3)「国内初開催!ワールドトレイルズカンファレンスの報告」高務 裕子(鳥取県中部総合事務所地域振興局 ワールドトレイルズカンファレンス室長)ワールドトレイルズカンファレンス(WTC)とは、歩く旅と自然保護の価値を共有し、トレイルの発展について話し合う国際会議で、2010年から年1回、韓国済州島で開催してきた。第6回大会を鳥取に誘致し、「歩いて、癒やされる。」 をテーマに、2016年10月に国内初開催。並行してウォーキング大会も実施し、19か国・地域58団体、延べ4,500人が参加した。4日間の中では、世界のトレイル紹介、シンポジウムや分科会などを行い、大会の成果として、友好トレイルの拡大、若手リーダーの育成などで一致した。 ※シンポジウムならびにワークショップの詳細については、安藤百福センター紀要 第7号(2016年度版)に掲載予定です。 戻る |
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