日本ロングトレイル協会
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第5回ロングトレイルシンポジウム

2018年2月24日に開催しました「第5回ロングトレイルシンポジウム」は、お陰様で約110名の参加者があり、盛況のうちに終了しました。

日時: 2018年2月24日(土)13:30〜17:30
会場: 安藤百福記念 自然体験活動指導者養成センター(以下、安藤百福センター)
主催: 特定非営利活動法人日本ロングトレイル協会
共催: 安藤百福センター
後援: 環境省、観光庁、長野県、長野県教育委員会、小諸市、小諸市教育委員会、
一般財団法人全国山の日協議会
特別協賛: ミズノ株式会社

■ 要 旨

1.ご挨拶

安藤 宏基(安藤財団理事長、日清食品ホールディングス株式会社代表取締役社長・CEO)

 ロングトレイルは、自然・文化・歴史などを感じながら長い距離を歩くことから人気が出てきている。これは日本を再発見するということであり、インバウンドで日本の魅力を知ってもらうことにも役立つ。これからは「歩育」も重要。また、日本を縦断する「JAPAN TRAIL」がインバウンドに役立てば素晴らしいと思う。

2.特別講演(1)"Why Long Distance Trails are Important to the World"

ガレオ・セインツ(GaleoSaintz:ワールドトレイルズネットワーク会長)

 人類はトレイルで育ったと言っても過言ではない。動物がつくった小道をたどって狩りをしたし、人類が伝播した旅の道筋は、ロングトレイルの起源を示していると言える。
ロングトレイルで重要なのは、より良い人間になるということ。すなわち、T=Tenacity「忍耐」、R=Respect「尊敬」、A=Appreciation「感謝」、I=Insight「洞察力」、L=Love「愛」、S=Simplicity「簡素さ」の6つを教えてくれる。トレイルが人を形作り、人がトレイルを形作るのだ。
トレイルの市場をどう開拓していくか。トレイルが抱える課題には、維持管理が十分でない、来訪者が過剰、再投資が不十分、放置や放棄による閉鎖などあるが、すぐに解決できるものではない。しかし、質が担保され持続可能なトレイルだけが「6つの教え」を訪れた人たちに与えることが出来る。使われないトレイルは役に立たないのである。
トレイルはアドベンチャー・ツーリズムの核となっており、日本でも次世代のリーダーを育成するとともに、国際ネットワークに繋がることが必要である。

3.特別講演(2)「オリンピックレガシー」

水野正人(ミズノ株式会社相談役会長/日本オリンピック委員会名誉委員)

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックがもたらす無形のレガシー(遺産)に、観光やニュービジネスがある。訪日外国人は今、団体旅行からカスタムメードに移っている。ロングトレイルをもっと整備し発信することで、世界から様々な人が来て、楽しんでもらえれば良い。様々な要素を1つ1つ改善していけば、ロングトレイルは今後目を見張るものになるだろう。

4.講演「観光先進国への取組〜スポーツツーリズムを中心に〜」

斉藤永(観光庁観光地域振興部観光資源課新コンテンツ開発推進室長)

 観光庁では、「ビジット・ジャパン」を機にインバウンド(訪日外国人旅行)に力を入れており、2017年には2,869万人に達した。それに伴い「モノ」消費から「コト」消費に移行しており、体験型の観光コンテンツの充実等が必要になっている。スポーツツーリズムの中でも「登山・ハイキング・トレッキング」「ウォーキング」への関心は高く、「自然・景勝地観光」の需要も高いことから、ロングトレイルには大きな可能性がある。

5.パネルディスカッション「ロングトレイルにおけるインバウンドへの課題」

ルーカスB.B.(Lucas Badtke-Berkow:PAPERSKY編集長)
 近藤謙司(国際山岳ガイド)
 高野賢一(特定非営利活動法人信越トレイルクラブ事務局長)
 節田重節(特定非営利活動法人日本ロングトレイル協会会長)
  コーディネーター 中村達(特定非営利活動法人日本ロングトレイル協会代表理事、安藤百福センターセンター長)

ルーカス:街道を歩くと、日本の文化や歴史を学び、人と触れ合うことができる。今、木曽路は外国人でいっぱいだが、他のトレイルもうまく伝えれば確実に増える。街道は日本の文化を体験できる貴重な場なので、文化と自然をうまくミックスすれば、他の国にはない日本のトレイルの魅力になると思う。
近藤:日本では、一般の観光地の情報は英語で出ているが、アウトドアスポーツに関する情報はあまり出ていない。今後はソフトとアクティビティを充実させたい。例えば、日本の雪が世界で有名になっているが、この魅力を世界にも日本人にも知らせることが重要。山岳ガイドの国家資格化も進めてほしい。
高野:Webでの情報提供はまだ少なく、訪れた外国人が発信してくれることが大きい。ツアーを誘致するには、自然だけでなく、文化や歴史にも触れることが重要。現在は問い合わせに対して個別対応しているが、どこまで対応すべきか悩ましい。自分たちのアイデンティティを再認識させてくれるのがインバウンドだと思う。
節田:登山を行う外国人は増えつつあり、ロングトレイルにもこれから入ってくるだろう。英語の地図や道標は喫緊の課題。歩きながら人は考えるので、それを体験できるトレイルが増えることを願っている。
中村:インバウンドの1つの方向性として、様々なトレイルを繋ぎ、北海道から沖縄まで1本の道で結ぶ「JAPAN TRAIL」を作っていければと思っている。

6.安藤財団からのお知らせ

荒金善一(公益財団法人安藤スポーツ・食文化振興財団事務局次長)

 安藤財団では、日本ロングトレイル協会と連携し、ロングトレイルの普及促進を図っている。また、スマート山岳道標の設置や道標の統一化も進めている。

7.事務局からのご報告

村田浩道(特定非営利活動法人日本ロングトレイル協会理事・事務局長)

 協会の加盟トレイルは22となるが、まだ未整備の段階なので、多角的に情報交流を進めていきたい。今後はJAPAN TRAIL構想とも連携しながら、さらなる活性化を目指す。

※シンポジウムの詳細については、安藤百福センター2017年度事業報告書に掲載予定です。


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